七代目嵐徳三郎
人物像
高橋睦郎
徳三郎はぼくが台本を担当し、蜷川幸雄が演出した舞台『王女メディア』で、一時期主役をやってくれたんです。彼もやっぱり色気のある役者でねえ。十三世仁左衛門の仁左衛門歌舞伎で鍛えられ、歌舞伎以外でも活躍したのは、実力と芝居心があったんでしょうね。『王女メディア』をやりたいと、ぼくのところへ挨拶にこられたときに演じてみせてくれたんですが、役の決定以前にもかかわらずセリフが全部入っていて、すごい迫力でした。
(山川静夫 評判を取りましたね。)
その役を失ったうえに病気になるなど、不遇な目に遭っての壮絶な最期でしたが、高潔で立派で、やはり忘れられない名優です。
(「百点対談 名優に捧げる句」『銀座百店』2022年4月 №809)