三階席のメモ

自身の備忘録。気まぐれで追加していきます。

四代目中村雀右衛門

人物像

高橋睦郎

山川静夫

その歌右衛門のことを尊敬していたのが、四代目雀右衛門です。歌右衛門とは三歳しか違わず同世代といってもいいのに、雀右衛門はつねに謙虚で歌右衛門を尊敬し、指導を受けていました」

高橋睦郎

なにしろ尊敬し続けていましたね。雀右衛門にはかわいがってもらって、ずいぶんお酒も飲んだんです。酔っ払わせて歌右衛門の悪口をいわせようとするんだけど、どんなに酔ってもいわないの「あなたね、わたしがなんとかやれてるのもお兄さんがいらしたからなんだよ」って感じでねぇ。苦労したぶん、本当に優しい人でした。だから歌右衛門も自分の代役ってほとんど雀右衛門に頼むんです。朝早く電話がかかってきて、「青木さん、お願いね」のひとことで(笑)。

 

雀右衛門の謙虚さを表す思い出があります。舞台を観たあと楽屋に行って褒めると、「むっちゃん、明日はもうちょっといいから」。楽日に行くと、「いやあ、この次やるときはもうちょっとよくなるから」(笑)

(「百点対談 名優に捧げる句」『銀座百店』2022年4月 №809)